|
1 レプトスピラ症とは
病原性レプトスピラを原因とする人獣共通の細菌感染症です。風邪症状のみの軽症型から、黄疸、出血、腎不全までを伴う重症型まで様々な臨床症状を示し、重症型については「ワイル病」と診断されます。典型的には、3~14日間の潜伏期間の後、発熱・悪寒・筋肉痛・結膜充血などが生じ、その後重症化すると黄疸や出血傾向などがみられます。
なお、レプトスピラ症は日本国内では、2003年11月5日に感染症法に指定され、2011年4月までの約7年間に全国で170例の報告がなされています。海外ではブラジル、ニカラグアなどの中南米、フィリピン、タイなどの東南アジアなど熱帯、亜熱帯の国々での流行が確認されています。
(参照:国立感染症研究所及び東京都感染症情報センターホームページ) |
|
2 原因と感染経路 |
病原性レプトスピラはネズミなどのげっ歯類に属する動物をはじめ、多くの野生動物やイヌ、ウシ、ウマ、ブタなども保菌しています。保菌動物の腎臓に定着し、尿中に排出されるため、ヒトはこの保菌動物の尿、あるいは尿で汚染された水や土壌と直接接触することによって感染します。(経皮感染)また、この尿で汚染された水や食品を介した感染の報告もあります。(経口感染)
川でのレジャー、農作業等で保菌動物の尿に汚染された水と接触すること、家屋などに出たネズミと直接・間接に接触することが感染機会となります。ヒトからヒトへの感染はありません。
(参照:東京都感染症情報センターホームページ)
|
|
3 レプトスピラ症の治療
|
抗生物質、ペニシリンによる治療を行います。腎不全などを生じた場合は血液透析を行うこともあります。
(参照:東京都感染症情報センターホームページ) |
|
4 マレーシアにおけるレプトスピラ症の現状
|
報道(マレーシア厚生省発表)によると、近年の把握件数は下記のとおりです。 |
|
|
|
|
|
2012年 |
3665件 |
死者48人
|
|
2011年 |
2268件 |
死者55人 |
|
2010年 |
1976件 |
死者69人 |
|
なお、マレーシアでは2010年からレプトスピラ症を認知した病院は厚生省へ報告を義務づける法律が施行されたほか、レプトスピラ症を媒介するネズミが衛生環境の悪さにより急増していることが当局関係者により報じられております。 |
関係当局では都市部におけるネズミの急増がレプトスピラ症急増の一要因であると捉え、対策を行っているようです。ネズミの繁殖能力は高く、妊娠期間は21日、年に5回出産を行う上、一度に2~14匹の子ネズミを出産すると言われており、レプトスピラ症等の発症を抑制するためには、同症を媒介するネズミの繁殖をどう減らすかが課題とされています。
ペナン州議会厚生委員によると、ネズミが多く確認されている地域は
|
Jelutong, Air Itam, Bandar Baru, Taman Free School, Pedang Tembak, Pulau Tikus とされています。 |
|
5 予防のポイント |
日常生活においては、野生のネズミとの接触を避けることが必要です。側溝や下水道の清掃を行う場合にはゴム手袋を使用し、素手で汚水に触れないようにしましょう。また、レジャーや農作業などでは素足で長時間川などに入らないようにしましょう。
(参照:東京都感染症情報センターホームページ) マレーシア厚生省では |
|
○ 缶入り飲料については、飲み口を水でよくすすぐかストローやコップを使って飲む。
○ 野外で食事をする時は、清潔を第一にする。
○ 屋外作業、特に土などを触る機会があった場合には手を洗う。
○ 食器やコップ、カトラリーを使用前に濯ぐ。
○ ゴミが適切に処理されないなどして衛生環境の良くないホーカーセンターやレストラ
ンを利用しないなどを推奨しています。 |
|
|
本件レプトスピラ症に関する詳細については、以下のサイトより入手可能ですので、参考としてください。 |
|
国立感染症研究所
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_012/k03_012.html |
|
東京都感染症情報センター
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/leptospirosis/ |
|
|
在ペナン日本国総領事館
|
Tel:04-226-3030 Fax:04-226-1030 |